2015年
12月
10日
木
親戚や友人等からお金を貸してほしいとお願いされた場合、まずは、お金の貸し借りは、かえって信頼関係・人間関係を壊す原因になりますので、しないのが基本となります。但し、相手の状態等により
やむを得ず行う場合の対応策について記述したいと思います。
まず挙げられる対応策は、公正役場にて執行認諾文言付(「直ちに強制執行を受けても異議のないことを認諾する」との文言)で金銭消費貸借契約公正証書を作成することです。執行証書(民事執行法22条5号)とも言われますが、これを作成すると、貸金の返済がなされない場合に、訴訟を提起せずに、直ちに強制執行の手続に入ることが出来ます。
次に挙げられる対応策は、借主(借主側の人間含む)が自宅等の不動産を所有している場合は、抵当権設定登記を行うことです。これにより、貸金の返済がなされない場合は、担保権の実行により競売手続の
中で債権の回収を行うことが出来ます。但し、先順位に住宅ローン等の抵当権が設定されている場合は、不動産の担保価値が低い場合は、配当を受けられませんので、登記簿(その他、税金滞納の有無等も)を確認する必要があります。登録免許税は、債権額の0.4%です(専門家に依頼する場合はその手数料も)。なお、抵当権の仮登記の場合ですと、登録免許税は1筆あたり千円となり、費用を抑えられますが、仮登記のままでは、競売手続の中で配当を受けられません。但し、仮登記でも何もしないよりは、効果はあります。例えば、競売で売却される前に、通常、競売よりも高い売却代金となる任意売買を選択する場合がありますが(借主にとっても有利となるため)、その場合、抵当権設定仮登記といえども、その仮登記権利者に抹消についての協力を求める必要があり、任意売買の手続の中で抹消のいわゆるハンコ代(解除料)として、いくらか回収できる可能性があるからです(但し、本登記・仮登記に関係なく、貸付債権の消滅時効の援用(主張)により登記の抹消を求められる危険がありますので、時効の管理は必要です)。
その他、連帯保証人を取る等の対応策ももちろんありますが、当然ですが、その方の信用度が重要となります(連帯保証人の所有物件に抵当権の設定登記をすることも考えられます)。
その他にも対応策はありますが(それぞれ必ずしも万全ではありませんが)、当方が言いたいのは、上記のような手続を求めた場合に、その態度によって、借主がどれほど本気で返済をする気持があるのか分かるということです。必ずしも何日も日にちがかかるという手続ではありません(抵当権設定登記の場合、特に専門家が関与すれば、当事者両名が同席し書類が整えば、つまり登記申請の準備ができれば、登記の完了を待つことなく貸付の実行が可能となります)。それにも関らず手続に協力しないということは、本気で返済する気持ちがあるのか疑問を持った方が良いということです。
繰り返しになりますが、お金の貸し借りは、原則として行うべきではありません。やむを得ずどうしても行う場合は、一晩だけ泣いて済む金額であればともかく、何らかの対応策を検討した上で行うべきでしょう。
(本ブログは、当方の知識・経験等をもとにした記述ですが、当方の私見等も含まれますので
一つの参考としてご覧ください。よって、記述内容について責任は負いかねますので
ご了承をお願い致します)
2015年
11月
25日
水
相続が発生した際、相続人が複数いて、そのうち、不在者(行方不明の方ですが、失踪宣告の
要件に該当しない場合として記述します)がいる場合、不在者以外の相続人だけで遺産分割協議を
成立させることはできません。家庭裁判所にて不在者財産管理人を選任し(民法25条)、その方と
ともに、遺産分割協議を行う必要があります。なお、不在者財産管理人は、遺産分割協議を行う場合
あらかじめ裁判所の許可を得た上で、遺産分割協議に臨みます。
但し、ここで問題なのは、不在者財産管理人には、基本的には弁護士などの専門家が
選任されるのが基本であり、(不在者の財産内容から財源を確保できない場合)その報酬等に
充てる為の予納金を申立人が納付しなければならないということです。事案の内容により
異なりますが30万円~50万円位かかります(100万円位かかるケースも)。
また、不在者財産管理人は、不在者の財産を確保するのが、第一の使命とされている人であるため
原則として、不在者である相続人の法定相続分を確保する形の遺産分割協議を成立させる必要が
あります。従って、不在者の相続する財産をゼロにする(=不在者以外の相続人だけで相続する)
ことはできないのが基本です(帰来時弁済型遺産分割協議等、例外はあります)。
そこで、まだ相続が発生していない時点での一つの対処法ですが、(推定相続人に)不在者が
いる場合においては、(被相続人となる方に)遺言を書いておいてもらうという方法があります。
そうすれば、(遺言の記載内容にもよりますが)原則として遺産分割協議は不要となり、遺産分割の
為に不在者財産管理人を選任する必要は生じないということになります。
(本ブログは、当方の知識・経験等をもとにした記述ですが、当方の私見等も含まれますので
一つの参考としてご覧ください。よって、記述内容について責任は負いかねますので
ご了承をお願い致します)
2015年
11月
24日
火
不動産の売買契約を締結し、買主名義に登記をしますが、他に出資者がいる場合は
原則として、その方も登記名義に入れる必要があります(出資割合に応じて、持分を
登記する必要があります)。そうしないと、贈与の課税関係が発生するからです。
登記した情報は、税務署に入りますので、税務署は「お尋ね」等により出資関係を把握し
それが登記(持分)と一致しない場合、贈与税の課税関係が発生しているのではとの認識を
持つことになります。
贈与税の基礎控除内(1年間110万円)では、結果的には、贈与税は課税されないという
結論になる場合もありますが、慎重に判断する必要があります。
なお、他に出資する方がいる場合は、売買契約締結前であれば、直ちに、不動産の
仲介担当者等へ伝えて、その方も買主として売買契約に参加させ、あるいは、売買契約締結後で
あれば、売主・買主間の覚書等を締結して、買主を追加させるなどの対応が必要になります。
(本ブログは、当方の知識・経験等をもとにした記述ですが、当方の私見等も含まれますので
一つの参考としてご覧ください。よって、記述内容について責任は負いかねますので
ご了承をお願い致します)