相続人に不在者がいる場合

 相続が発生した際、相続人が複数いて、そのうち、不在者(行方不明の方ですが、失踪宣告の

要件に該当しない場合として記述します)がいる場合、不在者以外の相続人だけで遺産分割協議を

成立させることはできません。家庭裁判所にて不在者財産管理人を選任し(民法25条)、その方と

ともに、遺産分割協議を行う必要があります。なお、不在者財産管理人は、遺産分割協議を行う場合

あらかじめ裁判所の許可を得た上で、遺産分割協議に臨みます。

 但し、ここで問題なのは、不在者財産管理人には、基本的には弁護士などの専門家が

選任されるのが基本であり、(不在者の財産内容から財源を確保できない場合)その報酬等に

充てる為の予納金を申立人が納付しなければならないということです。事案の内容により

異なりますが30万円~50万円位かかります(100万円位かかるケースも)。

 また、不在者財産管理人は、不在者の財産を確保するのが、第一の使命とされている人であるため

原則として、不在者である相続人の法定相続分を確保する形の遺産分割協議を成立させる必要が

あります。従って、不在者の相続する財産をゼロにする(=不在者以外の相続人だけで相続する)

ことはできないのが基本です(帰来時弁済型遺産分割協議等、例外はあります)。

 そこで、まだ相続が発生していない時点での一つの対処法ですが、(推定相続人に)不在者が

いる場合においては、(被相続人となる方に)遺言を書いておいてもらうという方法があります。

そうすれば、(遺言の記載内容にもよりますが)原則として遺産分割協議は不要となり、遺産分割の

為に不在者財産管理人を選任する必要は生じないということになります。

 

(本ブログは、当方の知識・経験等をもとにした記述ですが、当方の私見等も含まれますので

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